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帰国の日、
スワンナブーム空港に着いたのはちょうど日没ごろだった。
シルバーの外観にブルーの照明が美しい。
その向こうに赤い夕陽が落ちてゆく。
こんなときはモーツァルトのあの曲ががいいな。
と思っていたら
空港に設置されているスピーカーから
本当にモーツアルトが流れてきた。
ピアノ協奏曲21番第2楽章アンダンテ
名前だけ聞いても
どういう曲かわからない人でも
実際に聴いてみたらおそらく
「ああ。知ってる」と思うくらい有名な曲だ。
最近、
車の中ではいつもこの曲の入った
モーツアルトのCDを聴いている。
特に第2楽章アンダンテを聴きながら
車を走らせると
なんだか夢の乗り物にのった心地にさせてくれる
魔法のような曲だ。
それがこのぴったりな気分の時に
聴きたいと思った曲が流れてくるなんて
なんだか神さまの粋なはからいのように思えた。